ネットワーク編#1【抵抗,インダクタ,コンデンサ】
最終更新から時間たちすぎ...
前回までは材料について書きましたが今回からはネットワークについて書いていきます:D
ある程度前提知識が必要ですので、順を追って解説します
ネットワーク回路は「フィルタ回路」の組み合わせにより構成されます
フィルタ回路は能動素子(オペアンプなど)を使ったアクティブフィルタと受動素子(インダクタ・抵抗・コンデンサ)だけを使ったパッシブフィルタに分類されますが、IEMではだいたいパッシブフィルタを使います
つぎに受動素子のはたらきについてみてみましょう
以下にL:インダクタ(コイル)、R:抵抗、C:コンデンサの表記を用います。
オームの法則(電圧=電流×抵抗値)は有名ですが、周波数に対応させるため抵抗値をインピーダンスとした(電圧=電流×インピーダンス)で考えます(*'▽')
各素子のインピーダンスは次のようになります
ここでjは複素記号、ωは角周波数です。
インダクタからみていきましょう。Lの単位はヘンリー[H]で、素子ごとに固有の値を持ちます。
ω=2π×(周波数)の関係がありますから、インダクタは周波数が高くなるほどインピーダンスが高くなります。
抵抗は周波数にかかわらずインピーダンス一定です。
インダクタとは逆の性質をもち、周波数が低いほどインピーダンスが高くなります。
と書かれても初見で意味を理解できる方はなかなかいないのではと思いますが・・・
ともかく!これら三つの素子を用いてドライバに印加する電圧の周波数特性を調整します
☆フィルタ回路の種類
・低域通過フィルタ(LPF)
・高域帯域フィルタ(HPF)
・バンドパスフィルタ(BPF)
ほかにもありますが、ほとんど使わないので省きます。
こちらのサイト様で適当な値を入れてシミュレートすると直感的に理解しやすいです
フィルタたちの詳細は次回に・・・
素材編#2【ドライバ,配線,電気素子】
前回に引き続き素材のご紹介.今回は音を出すところ,電気回りにつかうパーツたちのご紹介です.
まずはざっと目次を...
・ドライバ
・配線
・電気素子
・コネクタ
・音導管,音響フィルタ
上記に分類してご解説いたします.
①ドライバ
ダイナミック型ドライバorバランスドアーマチュア型ドライバが主流かと思います.
頭文字をとってDD,BAなんて呼ばれたりします.
・入手方法
①ショップで買う
Digikey,mouser,Ali,taobao等々...マルツでも取り扱いがある.
②イヤホンを割る
ジャンクや中古品を買って割ってドライバを出す
筆者はAliをよく使います.セールの時にまとめ買いしています.
BAを製造しているメーカーとして,Knowles,Sonion,Bellsingが挙げられますが,Knowlesはどこでも手に入るイメージ,Sonionは入手できるのがtaobaoくらい,Bellsingは安いという偏見があります.
静電型ツイーカー出回らないもんですかねえ~~
②配線
ドライバとコネクタを接続する際に用います.極論をいえば導体であればO.K.なのですが,取り回しの良さが求められます...
以下に自身が使ったことのあるモノたちを挙げていきます.
・estronリッツ線
王道を往くリッツ線です.メーカー製品でも採用例が極めて多く,取り回しに長けた線材です.
Aliで10mのものを買っておくと結構長持ちします.色の組み合わせを楽しむのも一興です.
・mogami2706
カナルワークス製のイヤモニはこの配線を用いているのではないでしょうか.これも有名な線材です.estronに比べ取り回しは劣りますが優秀なものです.
モガミ 2706 (各色1m) - 撚り線 - 自作用各種配線材 - オーディオ / 映像 :オヤイデ電気オンラインショップ
・オーグライン PTFE被覆単線
筆者の知る限り最も取り回しがよい単線です.それでも取り回しとても面倒です.高い.クリアシェルとの組み合わせが映える.
本当に単線を用いてIEMを製作されているメーカーさんはすごいと思います.(よくやるわあんな面倒なもの...)
オーグライン PTFE被覆単線 - 自作用切り売りケーブル - イヤホン/ヘッドホン :オヤイデ電気オンラインショップ
リンク先のΦ3mmのものです.
③電気素子
受動素子なので抵抗,コンデンサ,インダクタです.山のように種類があります.
なので筆者の知るところをつらつらと...
・抵抗
チップ抵抗or金属皮膜抵抗がメジャーかと.
共立,秋月などで買えます.可変抵抗を用いて音の調整機構なんかも面白いです.
抵抗値は~100[Ω]くらいでしょう.このあたりはいつかの記事で紹介するネットワークあたりでまた詳しく解説します.
チップの積層セラミックコンデンサが一般的です.
容量は0.1[μF]~47[μF],結構バコバコ使うので数十個単位で買っておくとよいです.
チップ積層セラミックコンデンサー 0.1μF50V F 1608 (40個入): パーツ一般 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
他には,薄膜高分子積層コンデンサや
薄膜高分子積層コンデンサー(PMLCAP) 0.1μF50V[3216]: パーツ一般 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
無極性の電解コンデンサなども
オーディオ用無極性電解コンデンサー10μF25V85℃ ニチコンMUSE・ES: パーツ一般 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
他にもかなり種類がありますのでいろいろ試してみてください.
・インダクタ
IEMのネットワークではよほど凝らない限り使うことはないでしょう.SPのネットワークで多く用いられますが,デカいせいでシェルに収まらないってことが多いし...
マイクロインダクタ,チップインダクタなどのワードで調べてみて挑戦される方はどうぞ
④コネクタ
ケーブルとの接続をするため設けます.
最近は色んなところで入手可能です
MMCX
最も用いられるコネクタの1種
ケーブルの種類も豊富で手が出しやすい.
ただ,中央の芯が抜けたりガバることが多いので筆者はあまり使わないです.
2pin
"ニピン"とか"ツーピン"と言われたりするもの
形状によって分類される.埋め込み型のものがたいへんオススメではありますが,シェル容量を取るので要注意.
旧UE2pinを使われている方も散見されます.
コネクタについては既知の通り,破損,ガバが多いのでIPXなどのコネクタなどが市販されることを切に願っています...
⑤音響フィルタ
音響ダンパ,アコースティックフィルタなどと呼ばれたりするものです.
Aliやtaobaoでまとめて買っておくとよいでしょう
たいていはKnowles社製のものが使われるんじゃないでしょうか
筆者はRed,White,Greenをよく使います!
具体的に"どのような効果をもたらすか"についてはのちの記事で解説しようとおもいます(半分くらいわかんないすけど
素材編#2はここらへんで...
素材編#1【レジン,シェル】
この時期から花粉がきつくなってきますね.コンデンサと音響フィルタはくしゃみでぶっ飛んだ経験があるので気をつけましょう.
今回はIEMをつくるときの素材についてご紹介いたします.
大きく分けて
・シェル
・音を出す部分
の二つじゃないかと思います(雑
これは生成に失敗した野生のクリアシェル.チューニング用とかに使われます
今回はシェルに関連するものを紹介します.
*当ブログに書かれている内容に際して,いかなる不利益が生じても当ブログ主は責任も負いません.あくまで参考程度.「ふ~ん」「ほえ~」程度に受け止めてください.
では早速,,,
⓪ゴム手袋
レジン扱うならば買ってください.これからかかる費用に比べるととても良心的です.
①レジン
・本体用
ウチはNiceFitを使っています.
soundlinkで購入可能です.IEM製作素材を多く取り扱っているので愛用しています.
たまに象さんが一緒に送られてきます.
・接着用
これ↓百均ショップで売ってます
他には星の雫をつかっていたこともありましたが,大きさ的にこちらの方が取り回しがいいんですよね.
・コーティング用
NiceFitのものを使っています.soundlinkで購入可能です.
コーティングに関しては研磨派かコーティング派か研磨してコーティング派とかにわかれますので最初は買わなくて大丈夫です.こんな高い液体なかなかないですよ
②元型
カスタムorユニバーサルで異なります.
カスタムの場合はインプレッションを取得して整形したもの.
ユニバーサルの場合は元となるイヤホン型が必要です.
筆者はユニバでしか作ったことがありません.なのでカスタムはわかりません!
「ユニバは型を取るだけだから楽じゃないか?」その通りなのですが,型探しがとてーも苦心します.3Dプリンタで作るという手もありますが.
多ドラとなると大きなシェルが必要なわけでして...
結論から申し上げますとこれに落ち着きました.
taobaoさんにお任せですね.これ見つけるまで数機の中華イヤホンたちが樹脂に沈んでいきました.
③型取り
ボークスの透明シリコーンを使っています.寒天式があまり肌に合わなかったので消去法で使っています.ここは改善を試みる余地が大いにあります.
ここまででとりあえず型とレジンは揃いました.
あとはUVランプとリューター,やすりを揃えてシェルを作るのですが,ここを表現するのが難しい.
難しい点①
再現性がない.
感覚で作ってるところがあるからです.そもそも私がなぜレジンに紫外線が当たると固まるか説明できない...
難しい点②
オカルト染みてる.
自身のシェル作成の工程に願掛けクラスのものがあり何の役にも立たない.
オカルトの工程が生み出されたのは気泡と黄変のせいです.
というかシェルの作り方云々は多くネットで出回ってるし正直いらなくね・・・??が本心です.他力本願寺.
シェルに関するものはここまでで,次は音を出す部分に触れていきたいと思います.